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起業の科学 スタートアップサイエンス

感じたこと

  • よくある失敗をしないためのお作法を記しておく、という意味での科学。全体の流れがみえるようになっているのは素晴らしい。
  • それぞれのステップでポイントがありそうで、そこはダブルクリックしていく必要があって、東大・馬田さんのスライドが参考になりそう。
  • Idea Verificationのフェーズにいるのに後半のことばかりに意識が向いているチーム・企業をよく見る。NGリストはけっこう有用で、大企業の新規事業チームは壁に貼っておいたほうが良さそうなくらい。
  • VCや起業家がこれまで考え抜いてきた内容がまとまっていて、田所さんの頭の中だけのものではないのがとてもよい。良いコンテンツ自体はWeb上にあふれているもの。
  • 課題にフォーカスする。プロトタイプ・MVPを用いて改善回す。とにかく計測する。あたりが重要なメッセージ。
  • 改めていろんな概念をばーっとさらえたのは、個人としても勉強になりました!

内容

  • 本書の指針は、
    • 自分たちが正しい方向に進んでいると確認するためのコンパスを提供する
    • 時期尚早なっ買う代を防ぐためのガイドラインを提供する
    • 各ステージの目標を具体的なアクションに落とし込むノウハウ・ツールを提供する
    • 包括的な情報を提供する

各ステップは下記のような感じ。順番は上から。

  1. Idea Verification:あくまでサイドプロジェクトとして、小さく
  2. どういう課題を解決するのか明確にする: 課題の質にフォーカスをする。良いソリューションや技術は、課題ではない。業界知識、自身の専門性、環境変化へのアンテナが課題の質を高めることにつながる。以下は避けよ。
    • 誰が見ても、最初からいいアイディアに見える
    • ニッチすぎる
    • ほしくないものを、作れるからつくる
    • 根拠のない想像上の課題
    • 分析から生まれたアイディア
    • 激しい競争に切り込むアイディア
    • 一言では表せないアイディア
    常識とは異なるスタートアップの原則を知る: 成長はJカーブ。市場環境は常に動く。スケールは一気に。VCなどもステークホルダー。キャピタルゲインドリブン。場所に縛られない。市場定義ごと変更する。PMF検証前には体裁は気にするな。その他、以下はしない。
    詳細なビジネスプランをつくる
    正確なフィナンシャルプロジェクションを用意する
    精緻なリポートにこだわる
    そこそこ好かれるプロダクトを大勢の人向けにつくる
    詳細な仕様書を基に開発する
    最初に想定したビジネスモデルに執着する
    競合を意識しすぎる
    差別化を意識しすぎる
    Nice-to-haveな機能を追加する
    最初からプロダクトデザインやユーザビリティの細部にこだわる
    最初からシステムの自動化・最適化を行う
    ビジネスモデルが出来上がる前に積極的に人を雇う
    関係ないネットワーキングイベントや飲み会に参加する
    経歴が立派な営業・事業開発人材を雇用する
    独占契約・パートナーシップを結ぶ
    PRに注力する
    仕事の役割を厳密に定義する
    NDAを交わす
    受託開発などを必要以上に受ける
    業界の専門家からのアドバイスに頼る
    VCに自ら積極的にアプローチする
    スタートアップとしての潜在性を検証する: PEST要因からアイディアを検証する。GAFA等Tech Giantsの動きを見る。アイディアにはいくつかのフレームワークあり、下記。
    中間プロセスを排除する
    バンドルを解いて最適化する
    バラバラな情報を集約する
    休眠試算を活用する
    戦略的自由度を高める
    新しい組み合わせを提案する
    他市場で成功しているモデルをタイムマシン導入する
    裁定取引・アービトラージする
    ローエンドで市場参入をする
    As a Service化する
    リーンキャンバスを用いてPlan Aをつくる: まずは顧客と課題から。全てが埋まらなくても良い。
  3. Customer Problem Fit:主要メンバーと一緒に課題を見極める
  4. カスタマーの抱えている課題が何かを言語化する: 確証バイアスを避ける。ペルソナ×場所/時間/イベントなどで具体化。エンパシーマップを使うのもあり。その項目は以下6つ。参考に、カスタマージャーニーマップにするのもあり。
    何を考え、感じているか(Think):何を心配し、何を望むのか
    何を聞いているか(Hear):周囲はなんと言うのか。インフルエンサーは誰か
    何を見ているのか(See):生活環境や交友関係は?市場をどう見ているか
    何を言い、行動しているのか(Say):周囲に対してどう振る舞っているか
    どんな痛みを感じているか(Pain):恐れ、障害、フラストレーション
    何を得たいのか(Gain):欲しいもの、必要なもの、成功指標
    ジャベリンボードを用いて課題の前提条件を洗い出す: カスタマー/課題/ソリューション、それぞれの前提を一つのMAPにまとめて、検証すべきものの優先順位をつける。インパクトの大きさと自明度で判断。
    カスタマーが本当に課題を持っているかを検証する: インタビューなどを通じて検証。相手を知ること。相手の弟子になるつもりで教えを請い、根掘り葉掘り聞くこと。今/具体/プロセスに注目。
  5. Problem Solution Fit:核となるメンバーをフィックスし、プロトタイプをつくる。プロトタイプカンバンで右に右にと進めていく。
  6. カスタマーが課題をどう解消したいかを明らかにする: Content is king. UX is queen. エレベーターピッチをベースにUXブループリントを作成。
    プロトタイプをつくる: Webが最終姿でもまずはペーパーから。チーム全員で共有。留意点は下記
    GoogleやAppleが提示している基本的なガイドラインを遵守する
    カスタマーがプロダクトUXに期待するメンタルモデルを想定する
    使い方を学ぶことをユーザーに期待しない
    市場で受け入れられているプロダクトのUXを調べる
    プロトタイプを用いてユーザーインタビューをする: 実際に触ってもらいながら問いかける。何をするものだと思う?文言をどう解釈する?今何をしようとしている?期待通りに動いている?どう動いてほしい?どんな費用が発生しそう?
  7. Product Market Fit:柔軟性の高いチームを組成する
  8. 実験の準備をする: 余計な作り込みは避ける。一方で、お金を払いたくなるほどの価値を感じるものであるべき。
    MVPを構築する: 競合にはない、圧倒的な価値提案を。スプリントボード上に構築していく。実験したいストーリーを意識する
    MVPをカスタマーに届ける: 恥ずかしい状態のうちに市場に出すこと。GAなどの数値だけではなく生の声を聞くこと。直接、泥臭く、頭を下げて使ってみてもらう。マーケティングではなく営業。直接顧客と対面すること。
    MVPの成果を計測する: 海賊指標・AARRRを導入する。Acquisition、Activation、Retention、Referral、Revenueの順で。まずは水漏れを塞ぐこと。拡大はそれから。KPIは計測しやすく・インパクトがあり・行動に結びつくものに。まずはRetention、定着率の向上を。定性分析も掛け合わせる。
    継続的にUXを改善する: 機能よりもUX改善。オンボーディング、速度、動線、などなど。5秒で価値がわかるように。認知負担、身体負担、金銭負担を減らす。アンカリング/バンドワゴン効果/エンダウド・プログレス効果なども活用してユーザーをリードしていく。
    新たなスプリントを回す: 初回とは異なるユーザーストーリーを追加して機能検討する。追加したストーリーでも同じようにPMFが実現できているかを検証する
    必要に応じてピボットする: チャネルレベルの小粒なものから、カスタマーセグメントに至る大粒のものまで。バーンレートを見つつ。エンジニア不足や主観に基づくピボットは避けよう。
  9. Transition to Scale
  10. ユニットエコノミクスを計測する: AARRR全てにかかる指標を最適化。LTVがCPAを上回る状態に。ユニットエコノミクスを健全化してからスケールを志向すること。LTVの肝は解約率・チャーンレート。
    顧客一人あたりの売上・利益を高める: LTVにつながる視点でUXを改善する。低い定着率の分析は怠らずに。なぜ再訪問しない?再訪問してもなぜ定着しない?有料会員の解約はなぜ?
    CPAを下げる: 顧客獲得はオーガニックに。コンテンツマーケティングを志向する。カスタマーを育成していく。

引用メモ