🖋

岩波茂雄伝 (岩波文庫 青N131-1)

感じたこと

  • 私が商売をはじめたのは、いわば市井に隠れ家を求めてのことであって、責任の軽い、心の苦しみのない、気の済む生活をしたいという、極めて消極的な気持ちから出たのであります。日本の文化に多少でも貢献しようとか、学術の振興に寄与しようなどという抱負を持ってはじめたのではありません。
  • 岩波新書の企図する所は、学究的な立場を離れ、古典の制限を脱し、今日この時代にい来る人々の要求により自由に即応しつつ、現代人としての一般的教養に資すべき良書を、時代の流れに従って提供していくことにある。
  • 店員の理想的標準
    • あくまでも真面目なるもの、良心の敏感なるもの
    • 健康のもの、儀容あるの
    • 頭脳の良きもの、理解力の優れたもの
    • 奮闘的のもの、負けず嫌いのもの

内容

  • 予てより希いし独立自営の境涯を、一市民たる生活に求めて、左記の所に書店開業仕り、新刊図書雑誌及び古本の売買を営業といたし候。不敏の身貧弱の資を以て険難の世路を辿り、荊棘を開いて新たなる天地に自己の領域を開拓線とするには、定めて遭逢すべき多くの困難可有之事存候、野生が新生活における微少なる理想を実現する為、御同情御助力願われ候わば、幸之に過ぎず候。
  • 好んだ格言
    • 桃李云わざるも下自ら蹊をなす。
    • 低く暮らし高く想う。
    • 天上辰星の輝くあり、我衷に道念の蟠るあり。
    • 此地尚美し人たること亦一の喜なり。
    • 正しきものに患難多し。
    • 正しかることは永久に正しからざるべからず。
    • 正義は最後の勝利者なり。

引用メモ