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センスの哲学 (文春e-book)

感じたこと

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内容

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引用メモ

自由エネルギー原理とは

神経科学者のカール・フリストンによって提唱された、脳の知覚や学習、行動を説明するための統一的な理論です。

この原理の核心は、生物は「変分自由エネルギー」と呼ばれる、予測と現実のズレ(予測誤差)を表す値を最小化するように行動する、という点にあります。

  • 事前期待(予測): 生物は、過去の経験から世界がどのようにあるべきかという内部モデル(予測)を持っています。
  • 現実(感覚入力): そして、実際に五感を通して世界から情報を受け取ります。
  • 差分の最小化: 自由エネルギー原理によれば、生物はこの予測と現実のズレを常に最小化しようとします。そのために、2つの戦略をとります。
    • 知覚(内部モデルの更新): 予測の方が間違っていると判断した場合、内部モデルを更新して現実に合わせます。これが「学習」や「認識の変化」に相当します。
    • 行動(現実の変更): 予測の方が正しいと判断した場合、行動を起こして現実世界を予測に合致させようとします。

例えば、暗い部屋でコップを取ろうと手を伸ばす時、私たちはコップがあるであろう場所を予測(事前期待)して手を動かします。もし指先にコップが触れなければ(予測と現実のズレ)、そのズレを最小化するために、手の位置を微調整したり(行動)、コップの位置に関する認識を改めたり(知覚)します。

このように、自由エネルギー原理は、知覚と行動を「予測誤差を最小化する」という一つの目的で統一的に説明する、非常に広範な理論です。