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ハイデガー『存在と時間』入門 (講談社現代新書)

感じたこと

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内容

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引用メモ

このことは、ハイデガーが真の「存在」とするものを理解するためには、われわれ自身 本来的なあり方を取り、その境地がどのようなものであるかを知っている必要があると いうことでもある。このようにハイデガーの「存在の問S」は、われわれに自分の生き方 の見直しを求めてくるのである。 そうだとすると、ここで要求されている本来的な生き方とは、いったいどのようなもの なのだろうか。ハイデガーはそれを「先駆的覚悟」と呼んでいた。先駆、すなわち「死へ の先駆」は、自分の生から決して死の可能性を排除しないこと、場合によっては死を辞さ ないという態度を意味する。われわれには、死が恐ろしいがためにできないことがたくさ んある。逆に言うと、死を辞さないことによって、多くのことができるようになる。つま 自分の生における死の可能性を許容することは、逆に、おのれの生の可能性を広げる を意味するのだ。 死とは欠如、すなわち非存在なのだから、それは現存在の存在には属さないというわけ ではない。今も述べたように、むしろ死を認めることによってこそ、現存在は全を仕方で 存在することができるのだ。このように死がこのようにおのれの存在に属し、それを完成 するものであるという意味において、死は「他ならぬ自分自身の存在能力」だとされるの