🖋

中国古典の知恵に学ぶ 菜根譚

内容・感じたこと

  • 菜根譚、とは、「人よく菜根を咬みえば、すなわち百事をなずべし」(堅い菜根をかみしめるように苦しい境遇に耐えることができれば、人は多くのことを成し遂げることができる)という言葉に由来
  • 著者の洪自誠が、儒教・仏教・道教の教えを混ぜ合わせて人生訓としてまとめたのがこの菜根譚
  • 生き方について
    • 前集50:治世に処しては宜しく方なるべく、乱世に処しては宜しく円なるべく、叔季の世に処しては、当に方円並び用うべし。(この世でうまくいきていくためには、今という時代を読み、相手をよく見て行動することが大切だ。たとえば、政治的に安定した時代であれば、自らの志や信念を貫いた生き方をすればよいし、風紀や秩序が乱れた時代であれば、四角四面に行動するのではなく柔軟に生きたほうが良い。そして、風紀も秩序もほとほと失われた時代であれば、志や信念を貫きつつも柔軟性を忘れず、臨機応変な対応を心がけたほうがよい)
    • 前集90:天、我に薄くするに福を以ってせば、吾、吾が徳を厚くして以ってこれを迎えん。天、我を労するに形を以ってせば、吾、吾が心を逸にして以ってこれを補わん。天、我を阨するに遇を以ってせば、吾、吾が道を亨らしめて以ってこれを通ぜしめん。天且つ我を奈何せん。(天が幸福を授けてくれないなら、自分を磨いて幸福を得よう。天が肉体を苦しめるなら、精神を楽にして苦しみを減らそう。天が進む道を阻むなら、努力してわが道を貫き通そう。こうすれば、天といえども、どうすることもできないだろう。)
  • 自分を律することについて
    • 前集51:我、人に功あらば念うべからず。而して過ちは則ち念わざるべからず。人、我に恩あらば忘るべからず。而して怨みは則ち忘れざるべからず。(人に与えた恩は忘れてしまうのが良い。しかし、かけた迷惑を忘れてはならない。人から受けた恩は忘れてはならない。しかし、受けた恨みは忘れてしまうべきだ。)
    • 前集217:口は乃ち心の門なり。意は乃ち心の足なり。
  • 幸福について
    • 後集122:世人は営利のために纒縛せられて、ややもすれば塵世苦海という。知らず、雲白く山青く、川行き石立ち、花迎え鳥咲い、谷答え樵謳うを。世もまた塵ならず、海もまた苦ならず、彼自らその心を塵苦するのみ。(名誉や金儲けばかり考えている人は、とかく「世間は汚い、世の中は頭を悩まし苦しませることだらけだ」とぼやく。しかしそれは、彼らが目先の損得にとらわれるあまり、自然の美しさに目を向けないからだ。雲は白く、山は青く、川はサラサラと流れ、岩はそそり立っている。野には美しい花が咲き乱れ、鳥はさえずり、谷にはこだまし、木こりが歌っている。世の中には、こんなに美しい世界もあるのだ。この世は汚れてもいないし、苦しいことばかりがおきるわけではない。そうさせているのは、自分自身の心である。)