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実践知 -- エキスパートの知性

感じたこと

  • 実践知 (practical intelligence) とは、熟達者 (expert, エキスパート)がもつ実践に関する知性である。 熟達者とは、ある領域の長い経験を通して、高いレベルのパフォーマンスを発揮できる段階に達した 人をさす。一般に、熟達者は、特別な才能をもつ人や、医師やエンジニアなどの専門的な訓練過程を 経た人であるとするとらえ方がある。しかし、一方で、どんな人でも、よい経験を積めば、仕事の場 で、実践知を獲得することができるというとらえ方もできる。本書ではこのように実践知を獲得する 学習過程を「熟達化」と定義し、熟達者を熟達化の過程を経た人というより広い意味でとらえる(た とえば、 Ericsson [2006a)。
  • 熟達者は、単に定型的な手続きを自動的に実行する定型的熟達者と、手続きを柔軟に適用し、創意 工夫をもって改善する適応的熟達者に分けることができる。 波多野[二〇〇二]は、適応的熟達者が もつ知識(実践知)の内容がどのようなものであるかについて、三つの解釈をあげている。 第一に、実践知は、手続き的知識とその対象の理解を可能にする概念的知識から構成されていると いうことである。人は、経験によって獲得した手続き的知識を実際に適用する中で、その意味を考 え、それに対応する概念的知識を獲得する。 適応的熟達者の実践知にはこうした概念的知識が含まれている。 第二に、概念的知識を獲得することによって、人は、問題状況を適切に解釈して、その問題状況に 関わる本質や原理に関する概念的知識を自動的に働かせることができる。そして、スキルを実行する ための手続き的知識を行為に変換することができる。すなわち、適応的熟達者の実践知は、概念的知 識と手続き的知識が緊密に結束している。 第三は、メタ認知的知識が、通常の知識よりも一段高いメタ水準から知識をコントロールしている ことである。メタ認知的知識には、自分自身についての熟達に関する適切な自己評価の知識、仕事な どのタスク難易度などの知識、実行に関わる方略の有効性に関する知識がある(第4節参照)。
  • 定型的熟達化、適応的熟達化、創造的熟達化。
  • 実践知の獲得。観察学習、他者との相互作用、経験の反復、経験からの帰納、メディアによる学習。
  • 獲得の速度に影響する要因。挑戦性、柔軟性、状況への注意とフィードバック、類推能力。
  • 過去と未来への省察。行動中の詳察も。
  • さて、高校卒業後、同志社大学に進むと、山口先生とまったくタイプの異なる岡仁詩先生に出会っ た。平尾氏の語りを聞いていると、興味がつきないエピソードが多い先生だ。たとえば、ゲームに勝 つために、「この場面で、こういうボールの動きがあったら、どうやって防げるか」と真剣に悩んで いたら、岡先生が、「おまえ、暗い顔して何を考えこんでるんや、そこに来たらしゃーないんや(し かたがないのだ)。 それから、そこに来る確率どれぐらいあるね」と質問され、「あんまり、ありませ ん」と答えると、 そしたら、 「とられたら、しゃーないけれど、気持ちを切り替えて、ボール取り戻 すことを考えるほうがいい。ボールがそうやって回っていくから、ラグビーは、おもろいん(面白い の)や」と言われたそうだ。正確な再現ではないが、「しゃーない」と「おもろい」がキーワードだ ったという。岡先生によって、平尾氏はゲームリーダーとして、勝つために必要なことを考え抜くこ と、そしてラグビーを楽しむことの重要性を再認識した。このように、平尾氏が、経験から教訓を引 き出し、指導者からの薫陶の中身を自分なりに咀嚼して言語化することに長けていることに注目して ほしい
  • しゃーないの精神。その時、流川は笑った。ってやつだ。
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内容

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引用メモ