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二軍監督の仕事 育てるためなら負けてもいい

感じたこと

  • 高卒新人18歳から、調整中のベテラン(下手したら年上)まで相手に、いかにいい状態で1軍に送り出すのか、良い選手へと育てていくのか、二軍監督の責任は重い
  • 1軍と2軍のコーチングスタッフの比率を入れ替えてみたらどうか、という提言は面白い。たしかに、1軍の選手は自己管理ができる一流選手が多い一方で、2軍には指導次第で成長余地が一気に変わる部分が大きく、労力投下による限界的な差分は2軍のほうが大きい気がする
  • 青木選手と山田選手の、成果へのこだわりと失敗を引きずらない姿勢の両立には学ぶこと多し。常に今に、常に次に集中する姿勢。
  • 休日に川べりで缶蹴りをするヤクルト二軍の若手選手、かわいい、、、、
  • 高津さん、ぜひ地元広島に帰って、広島のコーチングスタッフを...!! by 広島ファン

内容

  • 第1章:育てる ~育成には、プランが大切だと改めて知った~
    • 次世代の球団を担うべき選手を、強化指定選手として指定して、結果が出なくとも我慢して使う。彼らを育てるためなら、二軍では負けても良い、くらいの腹のくくり方をする。 二軍も優勝を目指すものの、若手の成長からリハビリまで、組織運営が複雑になる。
    • 監督・コーチにアピールするためだけの「見せ練」はやめてほしいと。本質的なことに集中し、自ら課題意識を持ち、監督・コーチを使える選手になってほしい。
    • 高卒選手は、高校でのハードワークで野球に飽きている部分がある。改めて野球の面白さを伝えるのもコーチングスタッフの仕事
    • アメリカでは有望若手選手を「プロテクト」として、あえて2A/3Aあたりのマイナーで実戦経験を大量に積ませることも。日本球界でも2軍の使い方、1軍への昇格タイミングには一考の余地がありそう。
  • 第2章:モチベーションを高めるために必要なこと
    • 青木宣親と山田哲人。共通して、自分に必要な練習を理解しており、かつ結果がどうだろうと引きづらず、次のプレーへの切り替えが早い。
    • 二軍では結果が出ないことのリスクは把握している。それでも思い切りプレーしたことで、「自分にはこれが足りないんだな」と気づき、練習に前向きになってほしい。
    • ただし、成長の源泉であるハングリー精神自体を育むことは難しい。
    • プロで生き残ることができるのは「とんでもない特徴を1つもっている人」。石井さんであれば速球。ギャオス内藤さんであればコントロール。高津さんであればシンカー。
    • 若手選手と接するときは特に、カウンセリング・傾聴の姿勢を大切にし、メンタルダウンを防ぐことを意識している
  • 第3章:育てる組織
    • 新人選手は0から育てるのではなく、スカウトとの情報連携を通じて可能な限り発射台を高める。
    • 組織として、選手の怪我や疲労への対策・ケアの提供や、各種データ分析を実施していくことが必要
    • チーフコーチ、投手コーチ、打撃コーチ、守備走塁コーチ、それぞれが連携して育成方針を決めていく。ヤクルトは全般ポジティブな合議制スタイル。
  • 第4章:コミュニケーションが円滑な組織を生む
    • 朝のスタッフミーティング。まずはトレーナーから選手の体調の報告。その次チーフコーチから昨日の振り返りと今後の練習への反映方針。その後監督が当日の試合の方針などを伝えた上で、個別のコーチから意見を拾っていく。
  • 第5章:監督になって知る野球の奥深さ
    • サインプレー、打球判断、指名打者の有無による起用方法、様々。戦略・戦術面の奥深さを監督・コーチになって痛感。

引用メモ

ドラフト上位指名の選手だろうと、開始名の選手だろうと、ものになるかどうかはわからない。いま、僕が思っているのは「なんとかしてあげたい」という一心だ。 なにかきっかけになるようなことはないか。 なにか今後の活躍につながるようなヒントが隠されていないか。 それを常に探していて、選手たちが下積みに耐え、一軍に行ったときに、「二軍で過ごしたあの時間は良かったなぁ」とか、「監督のあの言葉の意味が今になってわかる」と思ってくれたら幸せだ。