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銀河の片隅で科学夜話 物理学者が語る、すばらしく不思議で美しいこの世界の小さな驚異

感じたこと

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内容

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引用メモ

一日の長さは一年に0・000017秒ずつ伸びている。これは月が毎日満ち潮引き潮を引き起こすとき、海水と海底との間の 摩擦 が、地球の回転をごく微弱に減速させるからである。その反作用で月は角運動量を得て、一年に3・8㎝ずつ地球から遠ざかることになる。それにともなって 一月 の長さも少しずつ伸びていく。
珊瑚 の表面には日々の潮の満ち引きが 文様 となって 刻まれている。文様の季節ごとに異なる濃淡と合わせてみることで、一年に日の数だけ、365の 筋 が見られるのである。ところが考古学者のスクラットンが、3億5千万年前のオーストラリアの珊瑚をしらべて、そこには一年に385ほどの筋が刻まれていることを発見した。つまりその時代の地球では、一年は385日であり、それから 勘定 すると当時の一日が、 23 時間弱の長さしかなかったとわかるのである。同様なデータの蓄積から、6億年前の一日は 22 時間ほど、9億年前だと 20 時間ほどだったと推定されている
オールトの雲は地球からあまりに遠く、その性質も起源も謎のヴェールに包まれているが、これを巡っては近年「ネメシス仮説」という興味深い議論が提出されている。それによると太陽は実は二重星で、未発見の暗く小さな赤い 伴星「ネメシス」があって、オールトの雲の近くを 廻っているというのである。もしそうならば、オールトの雲をネメシスが横切るたびに、たくさんの彗星が発生して地球付近を襲い、地球生命の大絶滅が繰り返されるだろう。1984年、シカゴ大学の古生物学者デイヴィッド・ラウプとジャック・セプコスキーは、過去2億5000万年の地層を研究して、まさにちょうど、そのような2600万年周期の地球生命大絶滅の痕跡を発見したのであった
すべての星々が銀河中心の超重量ブラックホールのまわりを回っている。われわれの太陽系も2億年かけてそれを回る。あらゆる存在の中心に暗黒が 棲んでいたのである。 しかもこの暗黒はただの 虚無 ではない。ブラックホールは「 降着円盤」と言われるディスク状の物質の 環 をまとう。巨大な重力がまわりの物質を吸い込む際にできる構造である。円盤内では物質同士が 摩擦 を起こし接触し衝突する。そこは 極 高エネルギーの高温世界である。物質はその質量の半分近くまでを失って、それが強烈なX線エネルギーとして放出される。つまりブラックホールは巨大な重力エネルギー変換機、宇宙最強のエネルギー創出装置である。これと比べると、質量のほんの千分の一程度をエネルギーに変換するだけのわれわれのもつ核兵器など 児戯 に 等しい。降着円盤は銀河の内外にエネルギーを供給し、そこからいずれ星が生まれ光が生まれるだろ