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すごい物理学講義

感じたこと

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内容

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引用メモ

  • わたしたちは、自分自身にとらわれすぎている。わたしたちは、自分たちの歴史を 学び、自分たちの心理を学び、自分たちの哲学を学び、自分たちの文学を学び、自分 たちの神々を学ぶ。わたしたちの知の多くは、人間それ自体のまわりをめぐっている。 あたかも自分たちこそが、宇宙でもっとも重要な存在であるかのように。わたしが物 理学に惹かれるわけは、たぶん物理学が窓を開け、遠くを見るように促してくれるか らである。物理学に触れていると、家のなかにさわやかな風が吹きこんでくるような 気分になる。
  • 科学的思考は世界を探索し、描きなおす。そう して、わたしたちが抱く世界のイメージを少しずつ刷新していく。世界についてより 的確に考える方法を、科学はわたしたちに教えてくれる。科学とは、思考の在り方を 絶えず探求していく営みにほかならない。わたしたちがあらかじめ抱いていた考えは、 科学によって揺さぶられる。 科学が秘める力は、現実の新たな領域や、より適切な世 界のイメージをあらわにする。
  • とはいえ、科学を単に、「計測可能な予見を実行するための技術」と捉えるのは間 違っている。 一部の科学哲学者は、科学を数字による未来予測に矮小化している。 わ たしにいわせれば、これは見当違いな誤解である。この種の学者たちは、手段と目的を取り違えている。 検証可能な量的予測は、仮説を精査するための手段にすぎない。 科学研究の目的は、未来を予測することではなく、世界の仕組みを理解することであ る。世界をめぐるイメージや、世界について考えるための概念的な手段を、科学は構 築し、発展させようとする。科学とは、「技術」を提示するより前に、まずもって 「見方」を提示する営みなのである。p272
  • わたしたちを取り巻く世界は、何世紀にもわたって拡大を続けてきた。眼差しの届 く距離が遠くなるにつれ、世界にたいするわたしたちの理解は深まっていく。 世界は つねに、わたしたちが想像するより広大である。わたしたちは世界の多様さに圧倒さ れ、自分たちの世界観の貧しさに呆然とする。けれども同時に、わたしたちが提示す る世界の描写はより深遠に、より単純になっていく。 p255
  • 空間とは、関係という糸の絶えざる湧出 から生じる織物である。一本の糸は、それ 自体としては、どの部分にも、どんな場所 にも存在しない。糸自体が、相互作用のな かで、場所を創り出すのである。空間は、 個々の重力の量子の相互作用から生み出さ れる。 p227
  • ○粒性ある物理学的な系のなかに存在する情報の総量は有限であり、それはプラ ンク定数によって限定される。○不確定性 未来は過去から一意的に導き出されるのではない。きわめて厳密な規 則に従っているように見える事柄も、現実には統計的な結果にすぎない。○相関性。自然界のあらゆる事象は相互作用である。ある系における全事象は、別 の系との関係のもとに発生する。量子力学は、あれやこれやの状態にある「事物」ではなく、「過程」をとおして世 界について考えるようわたしたちに教えている。過程とは、ある相互作用から別の相 互作用への推移を指す。相互作用の瞬間においてのみ、つまり過程の末端においての み、「事物」の性質はあらわになる。 そして、事物が性質を帯びるのは、ほかの事物 との「関係」を考慮したときだけである。しかも、その性質は一意的には予見できな いわたしたちはあくまで、確率にもとづく予測を立てるしかない。
  • 本当に無限なものがあるとしたら、それはわたしたちの無知だけである。
  • わたしたちは、「なぜ時間が熱の消費を生み出すのか」ではなく「なぜ熱の消費が時間を生み出すのか」をこそ問わねばならない。
  • 時間とは、事物の微視的な物理学を無視することで生じる現象である。時間とは、私たちが持っていない情報である。時間とは、わたしたちの無知である。
  • 科学とは、確実性ではなく、信頼性をベースに進んでいく。確実性の欠如こそが、科学を前進させる。
  • この湧出には、最小のスケールがある。そのスケールを下回る領域には、なにもの も存在しない。だから、どこまでも限りなく小さなものは、この世界に存在しない。 無限はこの世界に存在しない。空間の量子は、時空間の泡に紛れる。相互にやり取り される情報から、事物の構造が生まれる。 領域と領域をつなぐ相関性が、情報を織り なしている。こうした世界の総体を、わたしたちは方程式で記述できる。 そして、お そらくこの方程式には、まだ修正すべき点がある。