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ファクトフルネス

メモ

  • あなたは、次のような先入観を持っていないだろうか。 「世界では戦争、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている。金持ちはより一層金持ちになり、貧乏人はより一層貧乏になり、貧困を増え続ける一方だ。何もしなければ天然資源ももうすぐつきてしまう」 少なくとも西洋諸国においてはそれがメディアでよく聞く話だし、人々に染み付いた考え方なのではないか。わたしはこれを「ドラマチックすぎる世界の見方」と呼んでいる。精神衛生上よくないし、そもそも正しくない。 ~ 時を重ねるごとに少しずつ、世界は良くなっている。何もかもが毎年改善するわけではないし、課題は山積みだ。だが、人類が大いなる進歩を遂げたのは間違いない。これが「事実に基づく世界の見方」だ。(21)
  • この本は世界の本当の姿についての本でもあり、あなたについての本でもある。あなたや、わたしが出会うほとんどの人がありのままに世界を見ることができないのはなぜだろう。どうすれば世界を正しく見られるのだろう。そんな疑問にこの本は答えてくれる。 そして、この本を読み終えたら、サーカスを見たあとのように心が軽くなり、前向きになり、世界に希望がもてるようになるはずだ。 というわけで。 自分の殻に閉じこもるよりも、正しくありたいと思う人へ。世界の見方を変える準備ができた人へ。感情的な考え方をやめ、論理的な考え方を身につけたいと思う人へ。謙虚で好奇心旺盛な人へ。驚きを求めている人へ。 ぜひとも、ページをめくってほしい。(25)
  • 「なぜ、わたしが乳幼児死亡率にこだわるかわかるかな?もちろん子供は大事だが、話はそれだけではないんだ。乳幼児死亡率は、社会全体の体温を計ってくれる巨大な体温計みたいなものだ。子供はか弱い。だから、命を落とす原因なんていくらでもある。マレーシアで、1000人の子供のうち14人だけが死ぬということは、残りの986人は生き延びるということ。その子たちの親、そして社会が、病原菌、飢餓、暴力などから、子どもたちの命を守ったからだ。この14という数字を見るだけでも、マレーシアのほとんどの家庭には十分な食料があり、水道水に下水が混ざることもなく、誰もが基本的な医療を受けることができ、母親も読み書きができることがわかる。乳幼児死亡率からは、子供の健康状態だけではなく、社会全体の健康状態もわかるんだ。」(29)
  • いったいなぜ、金持ちと貧しい者のあいだに分断が存在するという考え方が、ここまで根強く残っているのだろうか。 わたしが思うに、人はドラマチックな本能のせいで、何事も2つのグループに分けて考えたがるからだろう。いわゆる「二項対立」を求めるのだ。良いか悪いか、正義か悪か、自国か他国か。世界を2つに分けるのは、シンプルだし直感的かもしれない。しかも双方が対立していればなおドラマチックだ。私たちはいつも気づかないうちに、世界を2つに分けている。(51)
  • わたしたちの先祖の命を救ってくれた恐怖本能は、いまやジャーナリストたちの雇用を支えている。かといって、「ジャーナリストが悪い」とか「ジャーナリストが行動を改めるべき」という指摘をするのは筋違いだ。メディアが「人々の恐怖本能を利用してやろう」と考える以前に、わたしたちの恐怖本能が、「どうぞ利用してください」と言っているようなものなのだから。 わたしたちにできることは、見出しの陰に隠れている事実に目を向けることだ。そうすれば、恐怖本能がいかにして、「世界は怖い」という印象を人々に植え付けるかがわかるだろう。(137)
  • 大災害がまさに起きている最中に、「世の中は良くなっている」というのは場違いだ。とてつもなく大きな苦しみの中にいる被害者や、被害者の家族の気持ちを踏みにじるだけだ。人としても完全に間違っている。こういうときは、人類の進歩のことはいったん忘れるべきだ。そして、それぞれができる限りの協力をしよう。 危機を脱するまで、事実や全体像について語るのは控えたほうがいい。だが、状況が落ち着いたら、わたしたちは再び「事実に基づく世界の見方」に沿って行動しないといけない。感情的にならずにソロバンをはじき、将来できるだけ多くの命を救えるように、資源が分配できているか確かめよう。(143)
  • 西洋のメディアは自由で、プロらしく、真実を追求しているかもしれないが、権力から独立しているからといって世界を正しく捉えているとは限らない。一つひとつの報道は正しくても、ジャーナリストがどの話題を選ぶかによって、全体像が違って見えることもある。メディアは中立的ではないし、中立的でありえない。わたしたちも中立性を期待すべきではない。 ~ それが理解できたら、メディアにああしろこうしろと要求するのは現実的でも適切でもないとわかるだろう。メディアは現実を映し出す鏡にはなれない。事実に基づいた世界の見方をメディアに教えてもらおうなどと考えるのは、友達の撮った写真をGPSの代わりにして外国を観光するようなものだ。(271)
  • 物事がうまく行かないときには、「犯人を探すよりシステムを見直したほうがいい」と訴えてきた。では、物事がうまくいたときはどうだろう?そんなときには「社会基盤とテクノロジーという2種類のシステムのおかげだ」と思ったほうがいい。 人類の成功はたいてい力のあるリーダーのおかげとされ、普通の人たちはその影に隠れてしまう。でもわたしは、普通の人を讃えたい。世界の発展に貢献してきたなもなきヒーローを讃えて、パレードをしようじゃないか。(278)
  • ファクトフルネスのルール

引用メモ