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ファスト&スロー

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@April 4, 2018

メモ

  • 瞬時の判断で大活躍するシステム1と怠惰だけど熟考をもたらすシステム2
  • 瞳孔は多くを語る。大きくなると魅力的に見える。カラコンするといいのかな
  • プライミング効果、アンカリング。老齢に関する単語を見せると無意識に歩くのが遅くなる
  • 正しいと直感的に信じさせたかったら認知負荷を下げること。文字は大きく、色ははっきりくっきりと。正しく考え込ませたかったら文字は小さく、かすれさせるくらいでちょうどいい。
  • 単純接触効果。接する頻度が高ければそれだけでポジティブな評価になりうる。
  • 私は脳の中の二つのシステムをシステム1、システム2と呼ぶことにしたい。この名称を最初に提案したのは、心理学者のキース・スタノビッチとリチャード・ウェストである。(Kindle位置 566)
    • 「システム1」は自動的に高速で働き、努力はまったく不要か、必要であってもわずかである。また、自分のほうからコントロールしている感覚は一切ない。
    • 「システム2」は、複雑な計算など頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意を割り当てる。システム2の働きは、代理、選択、集中などの主観的経験と関連づけられることが多い。
  • システム1の特徴
  • この作業をせずに動画を見たグループでは、ゴリラを見落とした人は一人もいなかった。ものを見たり音の方角を察知したりするのはシステム1の自動機能ではあるが、これが働くためには、そうした刺激に対する注意力が、ある程度は割り当てられていなければならないということである。チャブリスとシモンズは、この実験で最も注目すべき点として、被験者が結果にひどく驚いたことを挙げている。それどころか、ゴリラを見落とした被験者は「そんなものはいなかった」と主張したという。あれほど目立つものを見落とすはずはないというのだ。ゴリラ実験は、私たちの脳の働きについて二つの重要な事実を浮き彫りにした。第一に、私たちはまったく明らかなものにさえ気づかないことがある。第二に、そうした自分の傾向に気づいていないことである。(Kindle位置 656)
  • 本書に登場するシステム1とシステム2は、私たちが目覚めているときはつねにオンになっている。システム1は自動的に働き、システム2は、通常は努力を低レベルに抑えた快適モードで作動している。このような状態では、システム2の能力のごく一部しか使われていない。システム1は、印象、直感、意志、感触を絶えず生み出してはシステム2に供給する。システム2がゴーサインを出せば、印象や直感は確信に変わり、衝動は意志的な行動に変わる。万事とくに問題のない場合、つまりだいたいの場合は、システム1から送られてきた材料をシステム2は無修正かわずかな修正を加えただけで受け入れる。そこであなたは、自分の印象はおおむね正しいと信じ、自分がいいと思うとおりに行動する。これでうまくいく──だいたいは。(Kindle位置 666)
  • システム1が困難に遭遇すると、システム2が応援に駆り出され、問題解決に役立つ緻密で的確な処理を行う。システム2が動員されるのは、システム1では答を出せないような問題が発生したときである。たとえばさきほど17×24のかけ算をやったときには、あなたのシステム2が呼び出されたはずだ。また、ひどく驚いたときに注意力がどっと高まるのを感じた経験はないだろうか。これは、システム1が想定している世界のモデルに反した出来事が察知されて、システム2の出番になったからである。システム1の世界では、デスクスタンドがジャンプしたり、猫が吠えたり、ゴリラがバスケットボールのコートを横切ったりはしない。(Kindle位置 674)
  • 認知的に忙しい状態では、利己的な選択をしやすく、挑発的な言葉遣いをしやすく、社会的な状況について表面的な判断をしやすいことも確かめられてい(Kindle位置 1,088)
  • この「フロリダ効果」には、二段階のプライミングが働いている。第一に、一連の単語は、「高齢」といった言葉が一度も出てこないにもかかわらず、老人という観念のプライムとなった。第二に、老人という観念が、高齢者から連想される行動や歩く速度のプライムになった。これらは、まったく意識せずに起きたことである。 実験後の調査で、出された単語に共通性があると気づいた学生は一人もいないことが判明した。彼らは、最初のタスクで接した単語から影響を受けたはずはない、と主張したものである。つまり老人という観念は、彼らの意識には上らなかった。それでも、学生たちの行動は変化した。観念によって行動が変わるというこの驚くべきプライミング現象は、イデオモーター効果として知られる。(Kindle位置 1,407)
  • お金という観念が個人主義のプライムになるということである。すなわち、他人と関わったり、他人に依存したり、他人の要求を受け入れたりするのをいやがる。(Kindle位置 1,472) →自立心が高まる&個人主義になり、協力度が落ちる
  • 認知が容易だったり負担に感じたりする原因は、逆向きにも働く。つまり、認知が容易なときは、あなたはたぶん機嫌がよく、好きなものを見ていて、聞いていることをもっともだと思い、直感を信用し、慣れ親しんだ心地よい状況だと感じている。そんなとき、あなたはおそらく少々だらけていて、あまり深く考えようとはしていないだろう。逆に認知負担を感じているときは、あなたは慎重で疑り深くなっており、ふだんより多くの努力を払い、緊張し、エラーを犯しにくい。また、いつもほど直感に頼らず、創造性も発揮しない。(Kindle位置 1,574)
  • 頻度の最も高かった単語は、一回か二回しか登場しなかった単語に比べ、「よいこと」を意味すると考えた人がはるかに多かったのである。(Kindle位置 1,751)
  • 因果関係を巡る直感の重要性は、本書で繰り返し取り上げるテーマである。というのも人間には、統計的な推論をすべき状況で因果関係を不適切に当てはめようとする傾向があるからだ。統計的思考では、カテゴリーや集合の特性に基づいて個別のケースの結論を下すのであるが、残念ながら、システム1はこの種の推論を行う能力を備えていない。システム2は統計的思考を学習することはできるが、そのための専門的な教育を受けた人はごく少ない。(Kindle位置 2,033)→人は統計に弱い、因果を見出そうとする
  • ある言明の理解は、必ず信じようとするところから始まる。もしその言明が真実なら何を意味するのかを、まず知ろうとする。そこで初めて、あなたは信じないかどうかを決められるようになる。信じようとする最初の試みはシステム1の自動作動によるものであり、状況を最もうまく説明できる解釈を組み立てようとする。(Kindle位置 2,103)
  • 人物描写をするときに、その人の特徴を示す言葉の並び順は適当に決められることが多いが、実際には順番は重要である。ハロー効果によって最初の印象の重みが増し、あとのほうの情報はほとんど無視されることさえあるからだ。(Kindle位置 2,172)
  • ある質問を別の質問に置き換えるのは、困難な問題を解決するときのすぐれた戦略となりうる。ジョージ・ポリアは古典的名著『いかにして問題をとくか』(柿内賢信訳、丸善)の中で、置き換えについて、「ある問題をどうしても解けないときは、自分に解けそうなより簡単な問題を探す」と述べている。ポリアのヒューリスティクスは戦略的な手法であり、システム2が意識的に取り組む。だが本章で私が論じるヒューリスティクスは、意図的に選ばれたものではなく、メンタル・ショットガンの結果である。(Kindle位置 2,534)
  • 心理学者のポール・スロビックは、好き嫌いによって判断が決まってしまう「感情ヒューリスティック(affect heuristic)」の存在を提唱している。たとえば好みの党派だというだけで相手の主張に納得するのは、その一例である。あなたが現政権の医療政策に満足していたら、この政策は便益が大きく、費用も他の政策に比べ割安だと判断するだろう。他国に対して強硬姿勢に出る人は、おそらく、他国は自国より弱く、こちらの意志に従うと考えている。弱腰の人は、他国は自国より強く、そう簡単には譲歩しないだろうと考えている。放射能で汚染された食品、赤身の肉、原子力、タトゥー、オートバイといったものに対するあなたの感情的な見方が、そのままこうしたもののメリットやリスクの判断につながる。たとえば赤身の肉が嫌いな人は、「固いし栄養もない」などと言い張るだろう。(Kindle位置 2,638)
  • 数年前、アイオワ州スーシティーのスーパーマーケットがキャンベル・スープのセールを行い、定価から約一〇%引きで販売した。数日間は「お一人様一二個まで」の張り紙が出され、残り数日間は「お一人何個でもどうぞ」の張り紙に変わった。すると、制限されていた日の平均購入数は七缶で、制限なしの日の二倍に達したのである。(Kindle位置 3,170)
  • プライミング効果が驚くほど多様であり、こちらが何の注意も払わず、気づいてもいない刺激によって思考や行動が影響を受けることは、すでに述べたとおりである。プライミングに関する研究から得られた貴重な教訓は、私たちの思考や行動がその瞬間瞬間の状況に、自分が気づいている以上に、あるいは望む以上に左右される、ということである。多くの人が、主観的な経験と相容れないという理由から、プライミングの影響を信じようとしない。また、自立した主体としての主観的感覚を脅かされると感じて、動転する人も少なくない。(Kindle位置 3,218)
  • 記憶から同種の例を呼び出し、それがたやすくスムーズに呼び出せるようなら、そのカテゴリーは規模が大きいと判断するのである。「事例が頭に思い浮かぶたやすさ」で頻度を判断することから、私たちはこれを利用しやすさ、すなわち利用可能性ヒューリスティックと呼ぶことにした。(Kindle位置 3,259)
  • カリフォルニア大学ロサンゼルス校のある教授は、利用可能性バイアスを利用する巧みな方法を考え出した。学生たちに講座の改良点を挙げさせたのだが、このとき、クラス別に挙げてもらう数を変えた。すると予想通り、改善点を多く挙げるように指示したクラスほど、講座に高い評価をつけた。(Kindle位置 3,355)

引用メモ