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その仕事、全部やめてみよう――1%の本質をつかむ「シンプルな考え方」

感じたこと

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内容

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引用メモ

2014年にこの話をITコンサルティング会社であるガートナーのアナリストにしたところ、「ガートナーではその考え方を『バイモーダル』と呼び、これからの組織のあり方として位置づけています」というコメントをもらった。 バイモーダルは、2つのモードをうまく活かし合いながら、切磋琢磨していく。 モード1は、失敗が許されない領域に適した安定性重視。 モード2は、時代の変化にいち早く対応するスピード
例えばある人が砂漠にいたとしよう。3つのパターンが考えられる。 1つ目は、「俺なら行ける」と考えてやみくもに歩いて死んでしまう無謀者。 2つ目は、まずは水を確保しようとオアシスを求め、オアシスで必要な水を汲んだらまた歩き出す冒険者。 3つ目は、同じようにオアシスに着いたものの、「まだ水が足りないかもしれない」と不安になって水を汲み続ける臆病者。 当時の私は、経営の経験どころか、部下を持った経験すらなかった。営業もしたことがなかった。その意味では完全に無謀者
会社で使っている勤怠管理のソフトウェアが古臭く、気に食わないので退職することにしたという話もエンジニア界隈では珍しくない。「昨日、会社経営の本を読みました。うちの会社のビジョン、イマイチだなって思ったので、僕のほうで直しておきました」と、社内wikiの会社ビジョンを勝手に書き換えた人もいる。 キレるスーパープログラマーについても、キレる理由は明白だ。 高みを目指しているからである。理想を高く持っているので、目の前の現実とにギャップを感じると、もどかしさを感じてキレる。 もちろん、キレることはあまり望ましい行為ではない。 だが、もしキレる原因がここに書いたような「高みを目指す情熱に根差したもの」なら、その人のキレ気味な発言やしぐさは、情熱ゆえの熱暴走なのだ
大前提として「人が人を育てる」という発想は少しおこがましい。 人が人を育てるのではない。 人ができるのは「人が育つ環境を用意すること」だけだ。 一番ダメなのは「俺はこうやって成長したから、お前も同じようにすれば俺と同じようになれる」とアドバイスすること。性格もキャリアも異なる個人が、異なる環境の中で仕事をしているのだ。同じやり方で育つと考えるのは間違っている
それまで別々に見えていたタスクが、実はうまくまとめれば大半が共通化できることや、必須だと考えていたことが、実はさほど重要ではないことに気づいた。 忙しさのあまり狭くなっていた視野が広がったことで、思考が整理され、期限までに仕事を終えることができた。 仕事の目途が立ったことで授業の準備に集中することができ、片言の英語ではあったが、伝えるべきことは伝えて無事終えることができた
社会に出て仕事をしていく中で、この「400メートル走の教え」を思い出すことが幾度となくあった。400メートル走と同様、人生もどこかで力を抜くようにしないと、速いスピードで走り続けることができない。 常に全力疾走すれば、パフォーマンスは必ず落ちる。 プログラミングで最悪なのは、集中が切れた状態で仕事をすることで、「本当はもっと効率的なやり方があるのに、あまり望ましくない設計を採用してしまうこと」だ。そこで発生した非効率は、そのソフトウェアが使い続けられる限り、ずっと尾を引くことになる。 全力でとり組むタイミングと力を抜くタイミング。人によって自分に合ったそれぞれのスタイルがあるのだ。 例えば、その日のうちに片づける仕事が多数ある場合を考えてみよう。 私は簡単な仕事から先に着手することが多い。簡単な仕事を終わらせて残タスクの数が少なくなれば、「残すは難しい仕事がいくつかあるだけ」と気がラクになり、やる気も出る。「最初に力を抜いて温存し、最後に全力でダッシュする」ラストスパート型の仕事の仕方だ。 だが最初に難題を片づけ、「数はあるけど、あとは簡単な仕事だけ」のほうがやりやすいというスタートダッシュ型の人もいる
細かく分けるのがしっくりこないようであれば、「仕事」と「私生活」の2項目についてそれぞれ「一番近く」と「一番遠く」、合計4か所に記入するだけでもいい だろう。 例えば私の場合なら、「仕事」の「経営者として」の「一番遠く」は「日本の大企業が短期間で変われることを証明し、日本を元気にしたい」だ。そして「一番近く」は「いま関わっているプロジェクトを3か月以内に成長軌道に乗せる」ことだ。 「私生活」の「親として」の「一番遠く」は「子どもたちに感じる力、考える力、行動する力を兼ね備えた人になってほしい」であり、「一番近く」は「長男が熱望している東京湾での釣りに家族で行くこと」
レビューの難しさとどう向き合っていくべきなのかを協議した結果、私たちは「ひよコード」 という表現を発明した。 未熟で修正の必要があるソースコードに直面したとき、「なにこのクソコード」とは決して言わず、その代わりに「少しここがひよコードだね」「この箇所が少しピヨピヨしてるね」とコメントする。 ひよコードとは、「ひよこ」と「コード」(ソースコードの略)をかけ合わせた言葉だ。ひよこはかわいらしく人から愛される生き物だ。そしてこれから成長していくことを暗黙のうちに期待されている。 つまり、 伸び 代 しかないということだ。だから ネガティブなことを言わざるを得ないとき、精いっぱいの愛情を込めて「ひよコードだね」と伝える
本書のタイトルは『その仕事、全部やめてみよう』だ。さまざまなことを述べてきたが、一番やめるべき仕事は、没頭できない仕事だ。没頭せずに何かにとり組むことは、普通以下の成果しか出せない非効率な仕事の仕方だ。 「山」を作ろうとするときも、誰のどんな喜びに寄与する仕事なのかを考えていくときも、仕事の効率を上げていこうとするときも、仕事の中に面白さや楽しさ、やりがいを見出して夢中になってとり組むことこそが、仕事を力強く前に進めていく原動力