🖋

記憶する体

感じたこと

  • 体の中にあるローカルルールの豊かさ。
  • 「失明したことに気づかなかった」という現象
  • 自分の話を整理するために、目が見えていなかったとしてもメモを取る
  • テトリスのぶろっくをぐるぐる回しながら考えるように
  • 障がいを得た前後で体のOSそのものが更新されるような変容が起こる
  • 書くことは、意味を生み出す運動。私たちは、何らかのモノを操作し、その結果を視覚的にフィードバックすることによって、思考を容易にする。体とモノと資格の間にも、思考が存在する。
  • 書くことを通して、自分の体と物理的な環境をダイレクトに結びつけ、他者が介入しない自治の領域を作り出します。
  • 学習とは結局、あるものを獲得するために、それ以外のモノを大量に捨てる作業だといえる。それが抽象化。
  • 人生の途中で障がいを得ることは、体に対して意識的な関わりを要求する。それはつまり、オートマ制御からマニュアル制御への切り替え。
  • 体がオートマで動かせないなら、目指すべき目的も盲目的に信じるわけにはいかない。マニュアル化の増大が、工夫や批評性の余地を作り出す。
  • 階段というモノがなめらかな場になる
  • 席数5、という情報は全盲の人にとっては細かすぎる。そこにある質の問題。
  • Crip Tech
  • 両手をもっていることが当たり前ではない、あれば違うかもしれないけど。
  • 田舎の車、名字などの立ち位置と一緒

内容

  • プロローグ
    • 意識的なものにせよ、無意識的なものにせよ、私たちが経験の中で獲得するこうしたルールは、究極のローカル・ルールのようなものです。
    • 体のローカル・ルールが、まさにその人の体のローカリティ=固有性を作り出す。この体やあの体のローカル・ルールを記述すること。その体の、他には代えがたいローカリティ=固有性の成り立ちを解明すること。
  • エピソード1:メモをとる全盲の女性
    • 見えなくなって10年
    • 真空パックされた「書く」
    • アンダーラインが引ける
    • モノを介して考える
    • イメージ的なフィードバック
    • 机も見ている
    • 絵の中で迷う
    • 毎日がはとバスツアー
    • とっちらかったじぶんを取り戻す
  • エピソード2:封印された色
    • 0=濃いピンク、1=暗めの白
    • 点字を触ると頭がチカチカ
    • 頭の中のビジュアルイメージ
    • 求めてないのにやってくる
    • 色を割り当てる
    • チカチカ現象の原因
    • 抽象化の中断
    • 封印された色
    • 混色できない
    • 秘密の花園
  • エピソード3:器用が機能を補う
    • 制御マニア
    • オートマ制御からマニュアル制御へ
    • 足を甘やかしていた
    • 足の再発見
    • 記憶と現実のずれとしての幻肢
    • 残るのはフォルムではなく運動の記憶
    • 幻肢の指と足の裏
    • 切断して器用になった左足
    • 利き足の変化
  • エピソード4:痛くないけど痛い脚
    • 腕に脚の機能もついている
    • 階段に吸い付く動き
    • あくまでオートマ制御
    • こたつの中の脚
    • 脚に意識を置いておく
    • 右足さんに悪い
    • 痛いような気がしてくる
    • ラバーハンド錯覚
    • 感覚の予期
  • エピソード5:後天的な耳
    • 集団的記憶
    • 席数5のレストラン
    • 経験のパターン
    • 背中で思い出す記憶
    • 雰囲気か追体験か
    • 背後に感じる気配
    • 推理小説と補聴器
    • 文化的構築物としての耳
    • 甘えん坊な音
    • 聞こえない、から、聞こえる
  • エピソード6:幻肢と義肢のあいだ
    • 私の中では右手はある
    • 胴の中に入った幻肢
    • 刻々と変わる幻肢痛
    • 最後の腕の記憶
    • リビングがラボになる
    • 面白がれるようになってきた
    • 障がいとテクノロジー
    • 腕の記憶の行方
  • エピソード7:左手の記憶を持たない右手
    • わざわざバスケ
    • 義手との距離感
    • ウチとソトを分けるもの
    • 利き手感覚の不在
    • 右手が左手を欲してない
    • 名前のようなもの
    • 義手をいつ使えばいいのかわからない
  • エピソード8:「通電」の懐かしさ
    • 和服姿の求道者
    • 読経で自分を起こす
    • 動物になろうと思った
    • いざ、幻肢痛緩和VRへ
    • 「通電」がおとずれるまで
    • 両手感を思い出す
    • テレビ画面の真ん中に白い手が
    • ストームとルーパーの手と差し替えた
    • VRと禅
  • エピソード9:分有される痛み
    • ダブルマイノリティ
    • しびれる足、薄い手
    • サンドイッチが飛んでいっちゃう
    • どもる体を逸らす工夫
    • 夏はたき火、冬は針に指される痛み
    • これは自分ではない
    • 体からの出られなさ
    • 既に痛みは分有されていた
    • 「献身」でも「突っぱね」でもなかった家族
    • しびれてるのに、さらにしびれる
  • エピソード10:吃音のフラッシュバック
    • 落語のようなしゃべり
    • 見るのが怖い
    • 一人称を揃える
    • 振り子モデル
    • 花がしゃべってくれる
    • フラッシュバックの恐怖
    • 引き込み現象
    • しゃべるシステムのもろさ
    • 自分を超えるものとしての記憶
  • エピソード11:私を楽しみ直す
    • 言葉にならない違和感
    • オートマ制御の機能不全
    • 感を忘れる
    • 「記憶する体」にお任せできない大変さ
    • 状況の復元
    • 客観と実感のギャップを埋めるストーリー

引用メモ