感じたこと
- 体の中にあるローカルルールの豊かさ。
- 「失明したことに気づかなかった」という現象
- 自分の話を整理するために、目が見えていなかったとしてもメモを取る
- テトリスのぶろっくをぐるぐる回しながら考えるように
- 障がいを得た前後で体のOSそのものが更新されるような変容が起こる
- 書くことは、意味を生み出す運動。私たちは、何らかのモノを操作し、その結果を視覚的にフィードバックすることによって、思考を容易にする。体とモノと資格の間にも、思考が存在する。
- 書くことを通して、自分の体と物理的な環境をダイレクトに結びつけ、他者が介入しない自治の領域を作り出します。
- 学習とは結局、あるものを獲得するために、それ以外のモノを大量に捨てる作業だといえる。それが抽象化。
- 人生の途中で障がいを得ることは、体に対して意識的な関わりを要求する。それはつまり、オートマ制御からマニュアル制御への切り替え。
- 体がオートマで動かせないなら、目指すべき目的も盲目的に信じるわけにはいかない。マニュアル化の増大が、工夫や批評性の余地を作り出す。
- 階段というモノがなめらかな場になる
- 席数5、という情報は全盲の人にとっては細かすぎる。そこにある質の問題。
- Crip Tech
- 両手をもっていることが当たり前ではない、あれば違うかもしれないけど。
- 田舎の車、名字などの立ち位置と一緒
内容
- プロローグ
- 意識的なものにせよ、無意識的なものにせよ、私たちが経験の中で獲得するこうしたルールは、究極のローカル・ルールのようなものです。
- 体のローカル・ルールが、まさにその人の体のローカリティ=固有性を作り出す。この体やあの体のローカル・ルールを記述すること。その体の、他には代えがたいローカリティ=固有性の成り立ちを解明すること。
- エピソード1:メモをとる全盲の女性
- 見えなくなって10年
- 真空パックされた「書く」
- アンダーラインが引ける
- モノを介して考える
- イメージ的なフィードバック
- 机も見ている
- 絵の中で迷う
- 毎日がはとバスツアー
- とっちらかったじぶんを取り戻す
- エピソード2:封印された色
- 0=濃いピンク、1=暗めの白
- 点字を触ると頭がチカチカ
- 頭の中のビジュアルイメージ
- 求めてないのにやってくる
- 色を割り当てる
- チカチカ現象の原因
- 抽象化の中断
- 封印された色
- 混色できない
- 秘密の花園
- エピソード3:器用が機能を補う
- 制御マニア
- オートマ制御からマニュアル制御へ
- 足を甘やかしていた
- 足の再発見
- 記憶と現実のずれとしての幻肢
- 残るのはフォルムではなく運動の記憶
- 幻肢の指と足の裏
- 切断して器用になった左足
- 利き足の変化
- エピソード4:痛くないけど痛い脚
- 腕に脚の機能もついている
- 階段に吸い付く動き
- あくまでオートマ制御
- こたつの中の脚
- 脚に意識を置いておく
- 右足さんに悪い
- 痛いような気がしてくる
- ラバーハンド錯覚
- 感覚の予期
- エピソード5:後天的な耳
- 集団的記憶
- 席数5のレストラン
- 経験のパターン
- 背中で思い出す記憶
- 雰囲気か追体験か
- 背後に感じる気配
- 推理小説と補聴器
- 文化的構築物としての耳
- 甘えん坊な音
- 聞こえない、から、聞こえる
- エピソード6:幻肢と義肢のあいだ
- 私の中では右手はある
- 胴の中に入った幻肢
- 刻々と変わる幻肢痛
- 最後の腕の記憶
- リビングがラボになる
- 面白がれるようになってきた
- 障がいとテクノロジー
- 腕の記憶の行方
- エピソード7:左手の記憶を持たない右手
- わざわざバスケ
- 義手との距離感
- ウチとソトを分けるもの
- 利き手感覚の不在
- 右手が左手を欲してない
- 名前のようなもの
- 義手をいつ使えばいいのかわからない
- エピソード8:「通電」の懐かしさ
- 和服姿の求道者
- 読経で自分を起こす
- 動物になろうと思った
- いざ、幻肢痛緩和VRへ
- 「通電」がおとずれるまで
- 両手感を思い出す
- テレビ画面の真ん中に白い手が
- ストームとルーパーの手と差し替えた
- VRと禅
- エピソード9:分有される痛み
- ダブルマイノリティ
- しびれる足、薄い手
- サンドイッチが飛んでいっちゃう
- どもる体を逸らす工夫
- 夏はたき火、冬は針に指される痛み
- これは自分ではない
- 体からの出られなさ
- 既に痛みは分有されていた
- 「献身」でも「突っぱね」でもなかった家族
- しびれてるのに、さらにしびれる
- エピソード10:吃音のフラッシュバック
- 落語のようなしゃべり
- 見るのが怖い
- 一人称を揃える
- 振り子モデル
- 花がしゃべってくれる
- フラッシュバックの恐怖
- 引き込み現象
- しゃべるシステムのもろさ
- 自分を超えるものとしての記憶
- エピソード11:私を楽しみ直す
- 言葉にならない違和感
- オートマ制御の機能不全
- 感を忘れる
- 「記憶する体」にお任せできない大変さ
- 状況の復元
- 客観と実感のギャップを埋めるストーリー